高尾の森づくりの会の活動拠点である小下沢風景林にはどんな野鳥たちが暮らしているのでしょうか。
動物カメラが捉えた動物たちの姿をまとめました。ぜひ視聴ください。
植栽地の野鳥たち
アオゲラ
(2014.2.3 13:03撮影)30秒
キツツキの一種で日本固有種です。広葉樹林や混交林に好んで生活する1年中いる鳥です。山を歩いていると「ピョーピョーピョー」とか「ケッケッケッ」「ケケケケケケ」という大きな鳴き声が聞こえてきます。また春先には「ドロロロロ」と木をたたくドラミングの音で存在がわかります。この映像は、いつもは樹木の幹をたたいて餌を探している鳥が、地上に現れたものです。
アオサギ
(2018.12.31 15:22撮影)15秒
日影バス停の前にある釣り堀の周りの樹木にサギ類が止まっているのを見かけますが、時々それらが小下沢を遡上して来るのでしょうか、一帯で見かけることがあります。この時期にもかかわらず小下沢で魚影が認められるようになってきたのであれば喜ばしいことです。
アオジ
(2014.3.28 15:58撮影)30秒
平地から山地の竹藪や灌木の茂みに生息し、昆虫や草の種子を食べて生活しています。冬鳥のため、ここでは「ツェッ」という地鳴きしか聞かれず、声で判別するのは難しい鳥です。アオジとはいえ黄色がかった鳥です。
アカゲラ
(2025.3.11 16:15撮影)15秒
キツツキ科の鳥は高尾山ではコゲラとアオゲラが留鳥で、アカゲラは珍しい鳥です。冬鳥としてやってきたものと思われます。頭から上面は黒く白斑があります。オスの後頭は赤く、メスと区別できます。鳴き声は「ケッ」と一声づつ区切って鳴きます。ドラミングではアオゲラと区別するのは難しいです。
アカハラ
(2023.5.10 7:20撮影)20秒
高尾山ではシロハラとともに冬鳥です。山地の比較的明るいところに単独で生活しているものが多い。ツグミ科の特徴の地上を数歩羽根歩いて立ち止まる動作を繰り返します。土をほじってミミズや昆虫の幼虫を探します。
アトリ
(2017.4.7 9:34撮影)30秒
冬鳥で冬~春期に見られます。ウソ、シメ、イカルなどと同様のアトリ科の種です。群れで行動し、夕暮れに残雪の中を大群で移動しているところに出くわすことがあります。植栽地で見られるようになってきました。
イカル
(2013.12.27 14:35撮影)24秒
冬季、落ち葉の積もった広葉樹の下で餌をあさっている群れを見かけることがあります。春から夏にかけて「キキョキョエイ」とゆっくりしたテンポで、大きく澄んだ声でさえずります。ここ小下沢フィールドにはたくさんいます。
ウグイス
(2013.11.26 8:29撮影)26秒
平地や山林の笹薮やブッシュに住んでいて、夏には美しいさえずりを聞かせてくれる日本の3大名鳥の一つです。地味な灰色がかった黄緑色の鳥で用心深いので姿を見かけることは稀です。普段ブッシュの枝から枝へ飛び跳ねている鳥ですが、この映像にみられるように地上をウォーキングすることもあるのだと判りました。繁殖場所がガビチョウと競合するため、ガビチョウの急速な進出とともにウグイスの数が減るのではないかと心配されましたが、小下沢フィールドではその心配はなさそうです。冬でも「ジャッジャッ」という地鳴きで冬越しをしていることがわかります。
ウソ
(2014.1.1 14:39撮影)30秒
高尾山では冬鳥です。雄はピンク色のえりまきをしているのですぐに判ります。春には桜のつぼみを食べているウソの群れを見かけます。特にソメイヨシノのつぼみを好んで食べるようです。口笛のような「フィロ フィロ フィーフィ」いう声でさえずります。夏には高山へ移動し、蓼科山でたくさん見かけたことがあります。
オオタカ
(2022.4.29 5:30撮影)15秒
小下沢国有林のカメラの前に現れた猛禽類の一種です。餌は鳥類のほかネズミ、ウサギなどで植栽地にはこれらはたくさんいます。地上に降り立ったのは獲物を捕らえたからかでしょうか。モミの巨木の多いこの一帯で営巣していることも考えられます。
カケス
(2013.9.30 6:26撮影)6秒
「ジェー」という濁った声で鳴きます。換羽期に登山道にルリ色の混じった羽根が落ちていて、カケスのものであることがわかります。秋にドングリを木のすき間や土の中に隠し、冬場の食料にすることで知られています。
カシラダカ
(2014.4.2 5:46撮影)30秒
山林では灌木のある写真のような草地にいます。植栽地では樹木の成長とともにこのような場所が少なくなり、久しぶりに確認できました。頭頂には短い冠羽がありホオジロに似ていますが、腹が白く、地鳴きも「チッ」と一声なので区別できます。冬鳥なので間もなく北に旅立ちます。
ガビチョウ
(2014.11.2 9:33撮影)24秒
有名な外来種の一種です。古く江戸時代に中国南部からやってきた鳥ですが、野外で繁殖しだしたのはここ30年のことです。繁殖力が旺盛で、今や平地の林にも山林にも住んでいます。野太い大きな声で鳴くのでわかりやすい鳥です。われわれの植栽地では樹木の成長と共に草地が減ってきて、一時期に比べ数が減ってきたようです。
カワラヒラ
(2014.1.4 7:57撮影)9秒
農耕地や川原でよく見かけますが、こんなに山奥に来ているとは思いも掛けませんでした。この一帯には餌となる草の実がたくさんあるからでしょう。年によってマヒワの大群がヒノキの種子を食べに来ますが、写真の鳥のくちばしの肉色や風切羽の黄色はマヒワとは違うものです。
キジバト
(2013.12.11 9:06撮影)30秒
私たちの生活圏でもよく目にする鳥です。小下沢フィールドでは冬場の明るい林床で餌探しをしている群れを見かけます。
クロジ
(2020.4.28 10:02撮影)20秒
黒っぽい地味な鳥で、寒い時期に小下沢林道沿いのブッシュで群れでいるのをたまに見かけます。地上性の種なのでカメラの前に現れることを期待していたのですが、やっと姿を見せてくれました。留鳥ですが、夏季はもう少し高い山に移動するようです。
クロツグミ
(2013.6.10 18:56撮影)16秒
雄は頭から胸と上面が黒色、腹は白く、わき腹に斑点があります。夏になると南からやってくる渡り鳥です。特に朝夕に美しい声でさえずります。ミミズや昆虫を採るために地上にも降りてきます。数歩ホッピングして立ち止まって胸を張る動作はツグミ科の鳥であることがわかります。
コゲラ
(2021.1.18 7:30撮影)30秒
いつも樹上で樹皮のすき間にいるクモ類や昆虫をあさっている留鳥。小型のキツツキで、高木の上方でギーギーと鳴きコツコツと音を出すが見つけにくい。シジュウカラの群れに混じって行動しているのを見かけることがある。地上にいることは珍しく、アオゲラと違って地上カメラでは撮影できない鳥と思っていた。しかしここでも切り株をつついている。切り株の苔の中に餌があるのだろうか。
コジュケイ
(2014.6.10 6:07撮影)30秒
市街地から山地の林、草地、農耕地にいます。一帯に響き渡る大きな声で「チョットコイ チョットコイ」と鳴きます。やはり外来種で、中国 に分布する鳥を放鳥したものが増えたそうです。非繁殖期には群れで生活しており、小下沢フィールドには沢山います。
シジュウカラ
(2014.1.18 10:47撮影)28秒
市街地や住宅地の庭にもやってきます。繁殖力が旺盛で、最近ではスズメよりも多いかもしれません。植栽地ではヒヨドリとともにたくさんいます。早春「ツピツピツピ」とさえずる声を聴くと、春が来たと感じられます。繁殖期以外は群れで行動しており、このシジュウカラの群れにメジロ、ヤマガラ、コゲラなどが一緒に行動していることがあり、これを「カラの混群」といいます。
シメ
(2016.2.21 9:04撮影)20秒
カメラの前に現れた小下沢国有林で23番目の鳥です。冬鳥で、山地の林や樹林の多い公園にいます。動画はモミの巨樹の下で小さな群れが種子をついばんでいるところです。地鳴きの時期にしかいない鳥で観察するのが難しい鳥です。
シロハラ
(2014.11.29 13:13撮影)
平地の林や山林の樹木の下で落ち葉をかき分けミミズや昆虫を探している姿を見かけます。冬鳥で越冬中は1羽で生活しています。地鳴きで存在を知るのは難しい鳥です。
ダイサギ
(2019.3.11 9:54撮影)20秒
白サギ類の中では最も大きい鳥です。夏鳥ですが、夏になるとできる胸と腰の飾り羽はまだありません。夏に黒くなるくちばしもまだ黄色いままです。小下沢には餌を求めてやってきたのでしょうか。逆光にもかかわらず美しい姿です。
ツグミ
(2014.7.22 18:27撮影)30秒
夏になると北へ帰って行く渡り鳥で、ここで撮影された鳥は最後のものかもしれません。初冬に樹上で「キュキュ」と鳴く声で存在がわかります。越冬地である平地の林や草地、農耕地に行く途中に立ち寄ると思われます。
トラツグミ
(2014.1.7 15:38撮影)19秒
平地や山林にいる鳥で、夜明け前や日中でも薄暗い日に「ヒィーヒィー」と薄気味悪い声で鳴きます。小下沢フィールドには年中いるようです。ミミズや昆虫を食べるため地上で採餌します。
ハシブトガラス
(2013.4.10 8:21撮影)17秒
もともと山林の鳥ですが、街の中にもたくさんいてごみあさりをする嫌われ者です。こんな山の中で子育てをしているのには驚かされます。子供を育てるだけの餌があるということです。「カラスの教科書(松原始著)」によると、ハシブトガラスがこの時期にもう子育てをしているのはとても珍しいことのようです。
ヒヨドリ
(2021.1.15 8:15撮影)30秒
市街地でも高尾山でもよく見かける留鳥。繁殖期以外は群れで行動し、きつい声でお互いに鳴き交わすのですぐわかる。雑食性で花芽、花蜜、野菜の葉、木の実などの植物質の他昆虫や小型の両生類、爬虫類も食べる。樹上にいることが多くこれまで撮影されていなかった。
フクロウ
(2019.1.1 20:05撮影)15秒
高尾山では留鳥で、夜行性のため音声では確認していましたが、初めて映像でとらえることができました。生態系の上位で生活できるということは、餌となるネズミや両生類、爬虫類が多いということでしょうか。繁殖場所には樹洞などが必要で、高尾山一帯でのこのような古木の在り処も興味あるところです。
ホオジロ
(2014.1.6 12:01撮影)30秒
1年を通じて植栽地一帯で見かけます。繁殖期以外では群れで生活していて、植樹後間もない草原状の植栽地に多くいるようです。さえずりは聞きなしで「一筆啓上仕り候」と鳴くといわれていますが、そのように聞けるものは少ないようです。
ミソゴイ
(2017.4.7 9:34撮影)20秒
夏鳥です。小下沢の水量が豊かであったころには見られたといわれています。魚食性のため小下沢では餌が少なくなり、いなくなったと思われます。標高500mの地点に設置したカメラの前に現れました。歩く姿は狙いを定めた餌に近づくサギ科の鳥そのものです。
ムギマキ
(2021.5.4 13:35撮影)5秒
オスの背面は黒、喉から胸にかけてはオレンジ色。メスは背面が淡褐色で喉から胸にかけては淡い橙色。夏はシベリア、冬は東南アジアで過ごす旅鳥。カメラの前に現れたのはメスで渡りの途中に採餌に立ち寄ったと思われる。麦撒きの時期に現れるのでこの名前が付いたという。
ヤマガラ
(2014.1.17 14:13撮影)2秒
平地の林や公園でも見かけます。ゆったりしたテンポで「ツツピーツツピー」と鳴くのでシジュウカラと区別されます。昔、縁日のおみくじ引きの鳥として活躍していたこともあり、人懐っこい鳥です。秋から冬にかけて木の実を樹皮のすき間や土中に隠し、越冬中の食物にする習性があります。
ヤマシギ
(2013.11.12 5:55撮影)30秒
小下沢フィールドにこの時期にこんな鳥がいるとは驚きでした。繁殖期だけしか鳴かないのでレコーダーで捉えるのは難しいようです。餌のミミズや昆虫を取りに降りてきたところを撮影することができました。
ヤマドリ
(2014.4.1 16:36撮影)5秒
山を歩いていると突然飛び立ち、驚かされることがあります。カメラの前にもしばしば登場します。春の繁殖期に「ドロロロロ」という声が聴かれますがこれは声ではなく、雄が縄張り宣言のために羽根を震わせる音です。雄は長い美しい尾羽が特徴的です。
ルリビタキ
(2014.12.9 8:21撮影)30秒
冬季に北から渡ってきて越冬します。「ヒッヒッヒッ」とジョウビタキによく似た声で鳴きます。雄は成鳥になるに従い頭から上面が美しいルリ色に変化します。写真の鳥は発色の始まった若雄と思われます。
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高尾の森に響く、野鳥たちの声
高尾の森は、都心に近いとは思えないほど自然が豊かで、多くの生き物たちが暮らす貴重な場所です。中でも、私たち「高尾の森づくりの会」が活動の拠点としている小下沢風景林は、野鳥たちにとって大切な生息地となっており、森のあちこちで鳥たちのさえずりや羽音が聞こえてきます。
私たちは、この森に暮らす野鳥たちの姿や暮らしぶりを記録するため、無人カメラや音声レコーダーを設置しています。人の気配がない早朝や夜間、目には見えない場所で、鳥たちがどのように過ごしているのかを記録し、その調査を通じて、実に多くの種類の野鳥が、この森に集い、命をつないでいることがわかってきました。
こうした鳥たちの姿や声を知ることで、森の中で繰り広げられる日々の営みに、私たちもそっと触れることができます。そして、この森が今後も野鳥たちにとって安心して過ごせる場所であるよう、私たちは保全活動を続けていきます。
どうぞ、カメラが捉えた映像を通じて、野鳥たちの生きる高尾の森の様子をご覧ください。
